リバタリアン・パターナリズム とは? 少数派に多数派の意見を強制はさせない手法、配慮

Webインターフェース絡みの仕事をしていて、聞きなれない言葉に遭遇したのでメモ。
リバタリアン・パターナリズムとは何か?
一言でいうと、「マジョリティの意向をデフォルトにしつつも、マイノリティにそれを強制しない」という事である。
リバタリアニズムとパターナリズムという二つの正反対の言葉の複合語である。
リバタリアンとは何か?
リバタリアニズム(英: libertarianism)は、個人的な自由、経済的な自由の双方を重視する、自由主義上の政治思想・政治哲学の立場。
パターナリズムとは何か?
パターナリズム(英: paternalism)とは、強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益のためだとして、本人の意志は問わずに介入・干渉・支援することをいう。個人の利益を保護するためであるとして、国家が個人の生活に干渉し、あるいは、その自由・権利に制限を加えること。
元々は政治用語
本来は政府が国民にしてもらいたいことを、強制することなく普及させるための手法が、「リバタリアン・パターナリズム」と呼ばれていた。ポイントは、法律、ルール、規制と違って、マイノリティに選択の自由が与えられているという事。
日常生活におけるリバタリアン・パターナリズムの例
iPhoneでのネットサーフィン
殆どのiPhoneユーザーは、ネットサーフィン時にSafariを使用している事と思う。Safariを起動し、画面上部の検索ボックスに検索ワードをいれれば、googleでの検索結果ページがでてくる。
Googleは、知らないネットユーザーはいないであろう程強大で有名なサーチエンジンだが、サーチエンジン自体はgoogle以外にも、bing、インフォシーク、goo、等他にもある。Safariというアプリにおいては、初期設定(デフォルト)で使用されるサーチエンジンがGoogleになっている、というわけである。
殆ど大多数の人はgoogleのサーチエンジンを使い慣れているので、この設定変更をする必要はないが、中には何かしらの理由があってgooや、他の検索エンジンでもで検索したい!という人も一定数いる。このSafari内で使用するサーチエンジンの設定は、iPhoneの設定(settings)アプリ内から変更することができる。
この、「デフォルトでは、Safari内ではgoogleのサーチエンジンを使うけれども、設定変更したい人はできますよ」というマジョリティに向けて利用価値が高いものをデフォルトにしつつも、Google嫌い(?)にもそれを強制することなく配慮し、別のサーチエンジンを使える選択肢を与えているところが、リバタリアン・パターナリズムというわけだ。
ラーメン屋におけるリバタリアン・パターナリズム
ラーメン二郎では、なにもいわないと大量のニンニクがデフォルトで入っている。
「ニンニク入れますか?」でお馴染みのラーメン二郎なので、大多数のジロリアン、客はこのニンニクを受け入れている。
もしここで、店内に「ニンニク抜きもできます!」という張り紙を壁に貼っておいたとしたらこれはリバタリアン・パターナリズムを使って、ニンニク嫌いな客にも「ニンニク抜きの二郎ラーメンを選択できる」という配慮を与えている事になる。