英語を勉強する必要性はありますか?と聞かれた時の答え
更新日📅 June 08, 2020
•記事投稿日📅 July 16, 2018
•⏱️11 分で読めます
質問者が小・中学生であったり、大学受験前の高校生であったり、親に学費払って貰って留学してる学生さんであったり、社会人であったり、「自動翻訳技術が進歩していて、スマホのアプリやれなんやれを入れておけばもはや言語が違ってもコミュニケーションは成立するのでは?英語の勉強ははっきり言って無意味では?」と思っている人だったりに、「英語勉強の必要性」ってあるんですか?と今までそれなりの回数聞かれてきた。
この記事では、その問いに対する私なりの答えをまとめていきたい。
英語が喋れなくても幸せになる方法はいくらでもある。興味がないなら勉強する必要は全くない
自分が質問者の質問の意図をどれだけ理解しているかで返答方法はもちろん変わってくる。対象が誰であっても共通して伝えるのは次の2点。
- 興味が無い事に時間を割くぐらいなら、より興味のあることに時間を使った方が幸せになれる
- 興味とはある日突然何もないところから湧いてくるものではなく、ある程度その分野に触れてみないと湧かないものである
これらをまず述べる。
その後で、英語学習するという事がどういう事をもたらすのかをなるべくバイアスなしで説明し、本人の選択に委ねるが良いのではなかろうか。
こういった言い方で「必要性」を問う人間は、大抵前提条件が質問から抜け落ちおり、質問者自体がそれを自覚していないパターンが多い。
したくない事をするには理由が必要である
彼らは英語を「勉強したいもの」ではなく「勉強する気はあんまりないけれど、したほうがよさそうなもの」と捉えているのである。彼らはできる事ならば、英語を勉強したいと思える自分になりたいのだ。英語を勉強したいと思える理由が欲しいのだ。
英語学習は多くの日本人にとって、特に序盤の学習コストが高い。それ故に迷う。興味ができた時に勉強するのが最もコストパフォーマンスが高いわけだが、義務教育で英語に触れる多くの日本人は、勉強の面白さを知るよりも前に勉強のしんどさを学習する。学習に時間がかかると分かっている茨の道は苦行である。
下記では、英語学習の意義を私なりに分解してまとめてみた。英語学習に自分の貴重な時間を捧げるべきか、そうでないかを決める一つの参考になればと思う。
英語とはなんなのか?
これをちゃんと考えた事ある人って、英語学習者の中にどれぐらいいるのだろうか?
英語とは、人間が処理できる情報処理のタイプの一つである。言語学習をするという事は、自分が対応できる情報の種類を拡張するということである。
自分自身が英語を喋れなくても、大抵の事は達成できる
英語が喋れない時に思い描く「英語を喋れるレベル」とはとても曖昧なものである。グローバルに仕事がしたいだとか、英語圏で生活をできるようにしておくための準備だとか、人によって英語学習目的のイメージは様々だろう。
そしてその目的を達成する為に必要な英語レベルは画一的なものではない。実際世の中でそういった目的を達成している人達の英語レベルはバラバラである。
極論を言えば、英語が喋れなくてもグローバルに仕事をする方法はいくらでもあるし、英語が喋れなくても英語圏に長年住むことは可能である。英語を本当に喋れないとできない事なんて実は本当に少ない。英語で書かれた情報を読むのだって、翻訳サービスを使えば中身のコンテンツを知ることはできる。外国人と対面で英語で取引する必要があるなら通訳を雇えばいい。自分自身が英語が喋れなくても、やりたい事が「英語をしゃべる事自体である」という場合以外であれば大抵のことは代替手段で解決できる。
英語学習とは、情報処理のスピードと信頼性をあげるという事以外の何ものでもない
ここでいうスピードとは、言葉を話すスピードのことではない。上記で述べたように、目的達成のために英語が必要な場合、今の時代であれば大抵代替手段が用意されている。自分自身が英語を喋れなくとも、通訳を雇ったり、翻訳ソフトを使用したりすれば、処理する対象(人間、文字、音声)の使用言語が英語であっても目的は達成できるのである。
自分自身で英語を喋れる事の目的というのは、つまるところ、上記でいう英語での情報処理のスピードの向上と信頼性の獲得である。
情報処理のスピードの遅さは、それが人間同士のライブコミュニケーションであれば、話のテンポを悪くし、強いてはそれが、会話で発生する情報の質を下げる事に繋がる。自分と情報ソースの間に自分以外のものが入り込めば入り込むほど、処理スピードは遅くなり、情報処理のエラーつまり信頼性も落ちる。
テクノロジーの発達は、言語学習の価値を下げるのか?
Skypeのビデオ通話で、リアルタイム翻訳機能というものがある。2018年7月現在では、主にラテン語派生で置換が容易な、英語、スペイン語等が利用可能である。
モバイルアプリなどでも、録音した音をすぐに別言語に翻訳してくれる便利なものがたくさんある。
こうしたテクノロジーが発達した未来を想像して、語学学習の費用対効果は下がるのではないかと考える人たちがいる。それはきっと正しい事だとおもう。そのテクノロジーが社会に蔓延し、翻訳をする時のスピード感や信頼性が、第2言語を学習する事のプラクティカルな価値を超える日はいずれ来る事は間違いない。もしかしたら第2言語を覚えるという事の実用的な価値はほぼゼロになり、趣味や芸としての価値しか残らないかも知れない未来がくるかもしれない。
ただ、それが1年後にくるのか、3年後にくるのか、10年後にくるのかまだわからない。一部の専門家はこの未来の予測をもう少し精度が高くできるのかもしれないが、翻訳技術の信頼性が一定の大きさ以上の社会の中で担保されないと、安心して皆がそれに言葉を委ねるのは実現しないと思っている。技術レベルの到達と、それを聴き手受け入れるかどうかという事に関しては時代的に時間差が生じると思っている。
あなたがもしテクノロジーの発達に期待して、言語学習に時間を割かないと決めたのであればそれはそれで懸命な判断かもしれない。
ちなみに英語学習にコミットする平均的な日本人の大人であれば約1年弱で、現状のgoogle翻訳を使いたくなくなるレベル程度には英語レベルもっていけるはずである。
自分の生活プライオリティ、人生プランと合わせてコミットするかを決めればよい。大事なのは妥協を許すことではなく、自分がそれに納得できるかどうかである。
結局この記事の上の方で最初に述べたところに着地するが、興味があれば興味がなくなるまで時間をさけばいいし、興味がなければやらなくて良い。興味がある事は学習効率が最大化される。興味は、ある程度その分野に触れてないと発生しない。
英語を学習すると年収が上がるのか?
ざっくりとした見出しをつけてみた。要は、「社会的に成功するために費やす学習コストとして、英語学習は他の事に時間を費やすより割が良いかどうか」という問いである。
何と組み合わせるか次第
英語は他のものと組み合わせる事で効果を発揮しやすいサポートスキルなので、英語単体だけを学習する事での年収アップは、一般的に難しいであろう(私はそもそも「年収」を上げるために英語を勉強するという考え方自体が旧時代的だと思っているが、言葉として伝わりやすいと思ったのでこう表現している)。
よっぽどのオールドスクールな社会でない限り、現代の社会で評価されるのは、「英語ができること」ではなく、「英語で何ができるのか」ということである。
英語のインプット力が上がる事のメリット
英語のインプット力とは、英語文を読解したり、音で聞いて情報を処理する能力のことである。
上での話に戻るが、英語学習とは結局のところ自分の情報処理能力の拡張である。情報処理インプットの速さと質を高めるスキルというのは、ゲームでいうところの獲得アビリティポイント◯◯%アップ的なアビリティなものである。なるべく早めにこの◯◯%部分を上げておいた方がその恩恵を強く享受できるが、アビリティポイントは溜めているだけでは成長せず、どこかで消費しないと人間レベルは上がらない。アビリティポイントは、消費して覚えたい別のスキルがあってはじめて効率よく「英語の能力」そのものが生きてくるのである。
英語のアウトプット力が上がる事のメリット
英語のアウトプット力とは、自分で英語文を書いたり、英語で発言する力の事である。
アウトプット先の対象、最終到達地点となるのはほとんどの場合において人間、または人間が作ったデバイスである。ここでは対象が人間である場合について掘り下げる(デバイスである場合は現時点で複雑なアウトプットを要求しないケースがほとんどなので説明の必要がない)。
英語がアウトプットできるという事は、自分が持っている情報を処理させる選択肢が増えるという事である。アウトプットのレベルが上がると、持っている情報が対象に伝わる質を最大化させることができる。ゲームでいうと、「所有している装備品や、スキルの本来の能力を◯◯%引き出す」になる。◯◯の部分の数値が英語のアウトプット力と相関している。
ポイントは、仮にここが100%であっても、本来の能力がショボかったら効果は弱いのである。掛け算なので、ベースになる本来の力が強いほどスキルの恩恵が得られる。
効率的な英語力の活かし方と考え方
私の感覚的な意見を述べる。英語の習熟度、すなわち上記で例にだした◯◯%の部分だが、日本人大人の英語喋れない人の平均を仮に0~5%とし、ネイティブを約100%としたとする。
現実問題として習熟度5%から6%の壁はかなり厚いのである。学習コスト、特にエネルギーコストが非常に高い。ゲームのレベル上げでは通常、レベルが上がれば上がるほど次のレベルに必要な経験値量が増えるが、英語の場合は学習に対するモチベーション、エネルギーや時間コストを考えた時それがゲームと同じにはならない。ざっくりいうと、序盤と終盤の学習コストが高く、中盤のコストが低いのである。
極論をいうと、99%~100%にする為の学習コストは高すぎて実現はほぼ不可能だと思って良い。また、実践的に英語を使い始められるようになるまでに覚えてないといけない事柄が多すぎる、という理由で序盤の学習コストも非常に高い。同じ時間を使って沢山の人生経験値を得るのであれば、中盤の学習コストがある程度安い所まで時間を割いて「それなりに」に使えるスキルとして昇華させた後で余った時間を別のことに費やした方が、個人のもつ数十年単位のライフタイムの価値を社会的に最大化させたい場合に効率がいいのである。
感覚値だが、英語のボキャブラリーという事に関して言えば、語彙力10000から15000に到達させるまでの学習コストは、語彙力3000から8000まで上げるのに必要な学習コストの数分の1で済む。
この学習コストの大小がどのレベルでどうカーブするかというのは、個人個人のさまざまな資質で大きく変化する。これに関して述べ始めると本が一冊できてしまうほどの文章量になってしまう為、ここでは割合する。
英語を使う事による負担を無視できるレベル
ある一定値まで言語レベルを上げると、その言語を使用するエネルギーコストが無視できるほど小さくなるというのが発生する。英語でいうと語彙力12000あたりが目安だろうか。私の個人的オススメは、英語を勉強すると決心した場合に、このレベルまで一気になるべく集中的に短期間であげてしまう事である。
この感覚を手に入れると、日常のあらゆることが低コストでグローバルに行えるようになる。そして、「英語の勉強」を意識しなくとも、その他の事の学習に「英語」を用いて成果を上げることができるようになる。英語学習の為だけに時間を割くということから脱却するタイミングとして、一つの参考になればと思う。
注意点としては、どんなに英語のレベルをあげても、あなたが第2言語として英語を学んでる以上、その能力が日本語を超えることはほぼない。情報処理の快適さを比べた時に、総合値で英語が母国語に勝てる日は訪れない。英語を使うことに負担を感じ無くなる時というのは、負担がゼロになる時ではなく、負担はあるけれどもそれを無視できる自分になった時の事である。
まとめると、英語学習の価値を最大化させる為には、語彙力12000レベル程度までは集中的に英語を身につけ、その後はその他の興味ある分野を、言語で隔てることなく開拓していくのが効率がよいということになる。
英語のレベルを語彙数ベースで一元化できないことは百も承知である。筆者の肌感覚的な値として参考程度にとどめて理解してほしい。
今日はこんなところまで
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