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フォース・プラネット(Approaching the Unknown)のレビュー

  • review

更新日📅 June 08, 2020

記事投稿日📅 October 25, 2017

⏱️6 分で読めます

ネットフリックス(Netflix)にあったものを見た。

かなり主観的な批評。

この映画の公開は2016年6月3日。

あらすじ以降の章はネタバレを含む。

あらすじ - フォース・プラネット(Approaching the Unknown)

主人公のWilliam D. Stanforth(Mark Strong)は、人類で初めて「火星に降り立つ」というプロジェクトを達成するためにNASAで訓練をうけた宇宙飛行士。

映画の内容は、地球から火星に向かう主人公Williamの宇宙航行の様子をメインに、彼自身が地球から離れるまでの過去の階層シーンを織り交ぜながら展開していく。

一言で言うと「地球の人口が増えすぎてしまったから、火星移住計画開始しましょう、その一人目の話」である。

総評:2/5 SF好きな人にはまったくおすすめできない

先に総評を述べる。

ゼロ・グラビティ(Gravity)のような「宇宙ひろい!すごい!怖い」的なな視覚的に訴えてくるシーンがなければ、"オデッセイ(The Martian)のような、未知なハプニングに知的に対処していくシーンがあるわけでもない。

見終わった後になにか考えさせられる要素があるかといえば特にないし、途中ドキドキもハラハラもしない映画だった。

自分の思う宇宙ものSF映画は上記要素のいずれかを期待して見るが、「フォース・プラネット(Approaching the Unknown)」ではその要素が極めて薄いと言わざるを得ない。

描写が全体的に散漫で、何がしたいのかよくわからない。

"Approaching the Unknown"のタイトルは響きはカッコいいと思うが、それが「火星」という未開の地へ近づくことにしろ、「そのプロセスのなかで主人公にふりかかる様々な未知の体験や苦悩、精神の変化」にしろ、全体的な演出が今いちまとまりきれてない印象を感じた。タイトルと中身のギャップを感じた。シーンのほとんどは「火星につくまでの270日間は暇だよ」っていう描写。

とくに中盤がとてもつまらなくて眠くなる。後半もつまらない。最後もどうでもいい。評価が1でないのは、クライマックスのビジュアルエフェクトが悪くはなかったから。すべてが全て悪いわけではなかったから。

際立って良い要素も一つもないけど。

英語版のタイトル"approaching the Unknown"の日本語タイトルが、「未知への遭遇」でなく、「フォース・フィールド」にしたのは良判断だと思う。この映画の「未知」感は非常に弱い。

宇宙進出時に怒りうる人間の精神的な未知なる変化を描こうとしているので、映像が地味。物理的な未知を期待している人は見ないほうがいい。

かといって精神的な未知なる変化の描写が上手くいっているかと言ったら、そうでもない。

主人公に全然共感できない

その他の宇宙ものにでてくるキャラクター達と違い、性格や会話に知性を感じられないのが主な要因かもしれない。

物語の序盤で、補給のために待機していた宇宙ステーションに寄った主人公が、ステーションの異常に気付くシーンがあある。

これから主人公に訪れるであろう事象を示唆したものなのだが、主人公に後半で訪れる精神的な変化との結びつきがいまいち弱い。というか面白く描写できていない。

人類の希望をしょってたつ、選ばれし人間にしては、人間的な凄さの描写が乏しい。つまらない事で怒りすぎ。

主人公の肩書と、「火星でも水を生み出せる装置」を開発したという事実だけ並べただけ。

劇中全体を通して言えるのだが、主人公がただの無謀の自己中男にみえるまま結末を迎えるので、見終わった後に「だから何?」感が残ってしまう。

地球から火星までの片道切符であるという設定が活かせていない

もう地球に戻ってこない覚悟で火星にむかっている主人公、であるはずなのに、劇中ぜんぜんそれが伝わってこない。

多分もっと押し出していい設定のはず(それか逆に省くべき)だが、劇中そんなこと忘れてしまうぐらいの扱いを受けている設定である。中途半端。

ハラハラ感や緊張感が必須とはいわないが・・・

SF宇宙系には大抵ある要素であるが、この映画にはそれがあまりない。

代わりになにをみせてくれるのかといえば、「主人公の迷いと身勝手さ」。

もちろんハプニングはおこるが、そのハプニングに対処するための知的な描写であったりはほぼカットされ、代わりに「地球にいたころの自分はこうだった」的な描写や、NASAの命令を聞かない主人公の横暴さが第一に描かれている。

正直途中眠くなる。

途中の宇宙ステーションによる下りからの主人公の心情の変化の描写が単調すぎるので、クライマックスでの主人公の決断がただの身勝手野郎に見える。

エンディングについて

地球に帰還命令がでているも、NASAの命令を無視して勝手に宇宙でサバイバルをはじめてしまう主人公。

宇宙船内にアラームが鳴り響き、最後の方は綺麗めの宇宙の描写で異世界突入間を演出する。

アラームがなるまえは髭もボサボサで浮浪者みたいになっていた主人公。異世界突入とともにスローモーションになり、次のシーンで宇宙服を着た状態で火星に降り立つが、この時点では主人公の身なりは整っているように見える。

本当に無事に火星に到着し、人類初の火星進出をはたしたのか、はたまたこれは主人公の夢の中(実は爆発で死んでるパターン)なのかは劇中では明かされない。

誰もいない火星の表面。荒野で一人ぽつんと立つ主人公を映してスタッフロールに移行。

正直、この「本当に主人公は火星にたどりついたんかね?」的な要素は激しくどうでもいい。

全体的にビジュアル面やハラハラエキサイティング描写を削りに削って主人公の心情変化にフォーカスした(といっても巧いわけではないとおもうが)作品にしたかったなら、オリジナルタイトルの"Approaching the Unknown"(未知への遭遇)が意味するのは、物理的な「未知」よりも、より精神的な「未知」の世界への突入を意味するものでないかと推測する、というかそうであってほしい。

にも拘らず結局描かれているのは、序盤の宇宙ステーションで示唆されたネガティブな「長期の宇宙生活が齎す人間の廃人化」とラストのビジュアルに頼った曖昧な宇宙フィールド(主人公の幻想の可能性あり)で、それらの要素「未知とはいったい何なのか」を視聴者に考えさせる知的欲求を引き起こすトリガー的な存在が欠けてる。

ゆえに、面白くない。どうでもいいし気にならん。

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