バドミントン、運動連鎖の話 - ジャンプスマッシュとかラケットとか
更新日📅 June 08, 2020
•記事投稿日📅 August 31, 2018
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バドミントンにおける運動連鎖(英語でキネティックチェーン kinetic chain)の話。身体を鞭のようにしならせてパワーを伝道させて増加させる感覚、というものが最近また一段階クリアになってきたのでその感覚に至るまでのプロセスをメモしておこうと思う。
弾く感覚の習得
覚えている限り、自分には2度ほどラケットのスイングの仕方に転機が訪れた。細かいフォームの研究や考察はそれ以上に何度も試行錯誤してきたが、はっきりと確信をもって「この感覚だ!」となったのが2回ある。
1つは、ラケットシャフトのしなりに着眼し始めた時だった。シャフトが柔らかいものと硬いものを両方使う事で、その差は実感しやすくなる。スイングでいうと、「ラケットを振る」事以上に、「ラケットのスイングを止める」事を意識し始めた時。つまり、「弾き」の感覚が養われた時である。
2つめは、右利きの自分がクリアーやスマッシュを打つ時に左腕で胸を強制的に押さえつけて、上半身の動きを止める運動をする事を始めた時。これはリンダンも取り入れてるスイング方法らしいというのをどこかのyoutubeで見た記憶がある。ちなみに左腕で胸を押さえつけて、上半身に溜まったパワーを腕に伝達させるという運動連鎖は、左腕でなく腹筋をつかって上半身を止める事でも似たような効果が得られる。野球のオーバースロー投法でも、しっかりと上半身の動きを止める事で、腕が後から鞭のように送り出されてくる感覚をつかむことができる。
人によってはこの「弾き」の感覚を、「布団たたき」だとか、違った言葉で表現することもあるようだ。
体の部位を止める
ラケットにしろ、自分の体にしろ、「しならせる」感覚とはつまり、一部分を止めることにより、それとつながった別の部分が引っ張られて送り出されるということに他ならない。
もっというと、止める時はゆっくり止めるのではなくいきなり止める。いきなりビタっと止める力が強いほど、エネルギーロスの少ない伝達が実現する。
体の部位でチェーンする最後の部分は手首になる。手首チェーンによってラケットのグリップ部分を支点に動きが加わった後は、ラケットじたいが大きなしなりを開始する。シャフトがしなるのはもちろんのこと、ヘッドのフレーム部分もしなる。この記事の最後の方で述べるが、ヨネックスのアストロクスシリーズラケットはDタイプとSタイプでフレーム部分のしなり方も違ってくるようデザインされている。
s力の伝達を感じる
人間の関節数をベースに考えると、シャトルを打つまでには最大で7つの体の部位を運動連鎖させて力を増幅させることができるらしい。
運動連鎖について詳しく解説しているサイトは他にいくらでもあるので、ここではジャンプスマッシュにおける運動連鎖のキーポイントだけメモっておく。
- 1連のアクションは全て1つの流れとして繋がっている。ゆえに、ジャンプ後に空中で体の動きが止まることはない。上級者のジャンプスマッシュ動画をみると、ジャンプした後に膝を後ろに曲げて一瞬体が静止して構えているように見えなくもないが、実際には動きは止まっていない。
- 上級者のジャンプスマッシュの見た目で、膝を後ろに曲げる動作が目立つが、あれは膝を後ろに曲げようと思って曲げているわけではなく、両足を突き出す事で力を上半身に伝道させるしなり運動を実現させるために、結果として曲がっている。曲げようと思って曲げているのではなく、キックするために結果として曲がっている。
力の伝達は一瞬で行われる。各部位の力を上乗せするタイミングがとても重要である。力の上乗せとは、その部位の前の体の部位を止めることで、次の部位にその勢いが伝達された後に行われる。実際は力を部位ごとに加えていく感覚はほぼない。あまりにも一瞬で、全ての動作は繋がっているためその意識を確たるものとして持てない。
部位毎の力の伝達感覚を確認できるように丁寧に身につけた後に、それを早い一連の動きの中で繋げていくといったプロセスを踏むことで、力の伝達率を上げられるように思う。
運動連鎖の感覚は、ラケットに近い方の身体の部位から習得していくことで効果が得やすい。
ラケットによる違い
弾く感覚の効果は、ラケットの性能に大きな影響をうける。
ラケットの重心がヘッドヘビーであれば、しなった時により大きなパワーがのるかわりに重く感じ、細かいとりまわしがしずらくなる。
ラケットのシャフトが柔らかいほど、しなりそのものが大きくなる。同じ力でスイングしたときのしなりかたが大きくなるということは、しなりが生み出すバネの力が弱くなるということである。そのかわり、しなりを感じやすくなり、しなりによる恩恵を受けられる時間も長くなる。初心者は柔らかいシャフトのラケットを使ったほうが、シャトルを遠くに飛ばしやすい。硬いゴムのほうが柔らかいゴムより、ひっぱた時に戻ってくる力が強く、かつその時間と軌跡が短いのと原理は似ている。
ヨネックスで2018年にでたアストロクスシリーズのラケット
非常に人気のラケットでDタイプとSタイプの2つがある。筆者はDを使っている。
公式の説明ではダブルス向けと書かれているが、シングルスでも使えるラケットだと思う。
レギュラーサイズより長い
Dは10ミリ、Sは5ミリ、通常企画のラケットより長く出来ているため、長さの違うラケットからのスイッチをするとはじめのうちは感覚ズレをおこしてしまうかもしれない。
しなる箇所が違う
公式ページによるとDとSではしなりの支点となる場所(キックポイント)も異なるようにデザインされている。詳しくはYONEX公式ページを参照。
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