なぜ英語の勉強が習慣化しないのか?理詰めで自分の「欲」を管理する
更新日📅 June 08, 2020
•記事投稿日📅 September 24, 2018
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英語学習が習慣化しない理由、または一時的に習慣化してもそれが長期にわたり継続されない理由にメスをいれて語っていく。なお、別に英語でなく他の学習においても当てはまることが多いと思うが、説明の便宜上今回は英語学習をテーマに具体例を述べていくこととする。
実際に行動にうつすかどうか = 欲求値 + プレッシャー値
単純な式に落とし込んでみたが、自分で決めたことを実際に行動にうつせるかどうかは、「自分の欲求の強さ」と「外部からのプレッシャー」、だいたいこの2つの要因できまる。人間が実際に行動するのは、「欲求値とプレッシャー値」を足して、一定値以上になったもののみである。行動は値が高い行動から実行されやすい(第一次生理現象を除く)。
自分の欲求の強さ
自分が英語を学習したいと思う思いの強さである。「英語を勉強したほうがいいとおもっている」という思いのことではなく、欲求として英語学習をしたいかどうかである。
主観的な意見だが、これがポジティブな状態である人は稀である。試験がなかったとしても、将来全くなんの役に立つ事がないとわかっていたとしても、それでも時間を費やしたいと思える娯楽であれば、欲求値はポジティブ(正の値)である。「勉強しないとやばい、したほうがいい」という状態はネガティブ(負)の状態であり、英語学習がなかなか進まない人にとってはほぼこれが負の状態であると思って良い。これをポジティブな状態にできれば、習慣化は勝手に成功する。
例えば小学生がテレビゲームやスマホゲームを隙間時間にする状態は、ゲームをする事への欲求値が高い状態だといえる。娯楽と向き合っている時の単純な欲求値、自分に隙間時間ができたときにすぐにやりたいと思える事は、欲求値が高い行動である。
自分の欲求の強さが上がれば上がるほど、それを実行する上での実行コストが低くなる。最高値の状態は、好きすぎて中毒症状になっている状態(それをしてないと死ぬ状態)である。
外部からのプレッシャー
プレッシャーの高さは、自分の実際の行動リスト内のタスクの実行優先順位をつかさどる。プレッシャー値が高ければ高いほど、優先順位が高くなりやすくなり、行動に移しやすくなる。
例をあげると、定期試験前の勉強であったり、「社会的に勉強しておくと良さそうと思う気持ち」は、外的要因からくるプレッシャーである。語学スクールなどにお金を払って、「英語を勉強せざるをえない環境に身を置く」という行為は、お金を払う事で、このプレッシャー値を上げているのである。
プレッシャーの値を上げる事は長期的に非効率
継続的な学習ができない人の多くは、英語学習をするためのモチベーションコントロールを、「プレッシャー」の値を上げる事で解決しようとしている傾向がある。
「英語を勉強せざるを得ない環境に身を置く」ために、新しい教材を買ってみたり、スクールにいってみたり、海外留学してみたりといった事である。プレッシャーの値を上げる事は、お金で解決できる事が多い。
プレッシャーの値は放っておくと下がる
プレッシャーの値を上げるというアプローチは、短期的な学習に効果がある。試験勉強など、締め日が決まっているものは、その期間が迫るほどプレッシャーの値が高まり、締め日を過ぎたら一気に解放される。
外部からのプレッシャーとは、「やらなければいけない事」や「やったほうがいいと思っている事」を動機とし、自分の欲求が低い行動を実行にうつす為の燃料になる。
理解しておくべき事は、プレッシャーの値の強さは、「締切日」や、「周囲の環境、必要性」など、自分でコントロールしにくい外部要因に強く依存するという事である。自分の気持ち次第でコントロールできるものではないという事が、長期的な習慣形成をプレッシャーの値を上げることで解決しにくい最大の理由である。
外的要因は時間、場所、人、社会、など様々な要素が複雑に絡み合い、ランダム性が非常に高い。また、プレッシャーを受ける側には「慣れ」「順応」が存在する。プレッシャーの値が高すぎると健康に支障をきたす確率が上がり、学習効率を結果的に下げる事にも繋がる。
上記の理由から、学習の習慣化という「長期的」な学習態度を会得するのに、外的要素の大きいプレッシャーの値を上げる事でのアプローチは相性が悪いことを理解する必要がある。
どこかの偉い人も言っている名言だが、「決意をあらたにする」事ほど意味のないことはない。決意をあらたにしたところで、外的要因のプレッシャーがあがるわけではないし、決意を新たにしたところで、嫌いなものが急に好きになるわけでもないからである。
欲求値のコントロール
特定の行動を習慣化したい場合、効果的なアプローチは欲求値を上げる事である。欲求値を上げるために必要なことは、「快感」を得ることである。
「隙間時間さえあれば、それが得な行動かどうかに関係なく実行できる状態」まで持っていけるのが理想である。欲求値のコントロールは、自己分析がどれだけ深いレベルでできているかがポイントになってくる。自己分析の精度が高まると、
- なにが自分に快感をもたらしているのか
- 自分の費やせるエネルギー量
- 自分の行動パターン
が、詳細にわかってくる。
1. なにが自分に快感をもたらしているか
ポイントは、自分がなにに快感を感じやすいかである。対戦で、人を負かすことに優越感を感じるタイプか、褒められることで快感を感じるタイプか、自分の偉業に満足感を感じるタイプか、などである。多くの場合は複合的なものだろう。
英語学習の習慣化においては、タスクをこなした後で、これらの快感が報酬として得られるようなシステムを作れると欲求値をあげやすくなる。
たとえば、「単語を覚える」、「参考書を読む」などの単純タスクは、報酬が「それをこなしたことによる満足感」しかなく、高い欲求値になりにくい。「脳味噌を使う」という精神的負担を、プレッシャーの後押しなくして、満足感だけではカバーできないのである。成長記録がスコアとして可視化されたり、褒めてくれる人、それを自慢できるような環境がある事で欲求値を上げることができる。
それに対して、「洋画を観て英語学習をする」は「単語を覚える」よりも娯楽要素が強い場合がおおく比較的実行しやすいタスクである(学習効果の高さはこの際考えない)。これは、映像作品を観るという行動の精神的負担の低さ、とその他のなにかしらの快感(作品による)を満たす効果が備わっているためである。
2. 自分の費やせるエネルギー量
行動力と、持ち時間のことである。
行動力には慣性が存在する。自転車のペダルのようなもので、既に行動中の動きを維持するためのエネルギー消費は少なくて済むが、止まっている状態から動き出すのには大きなエネルギーが必要である。
今までやったことのないことを毎日1ヶ月続けるのと、すでに12ヶ月続けて毎日やってきたことを、追加で1ヶ月やるのでは、難易度がまるで違ってくる。
持ち時間は、物理的な余暇の時間である。この余暇の時間のなかで、「欲求値 + プレッシャー値」の高い行動が順に消化されていくのである。
3. 自分の行動パターン
上記の行動力における慣性の働き方と似ているが、便宜上わけて説明する。
欲求値は本来変動が激しい値である。趣味が複数あった場合、テレビゲームをしたいとき、スポーツをしたいとき、映画を見たい時などは時と場合によって違ってくるだろう。ただ、この興味の移り変わりは、直前のタスクの影響を強く受けやすい、つまり直前のタスクをコントロールすることで、意図的にその後、自分がテレビゲームをしたいとおもうのか、スポーツをしたいのかある程度コントロールが可能なのである。
簡単な例をあげると、バドミントンとぷよぷよテトリスが好きな人間(というか私)の場合、YouTubeでバドミントン関連の動画をみればそのあとでバドミントンがしたくなるし、ぷよぷよテトリスのプレイ動画を見た直後であれば、ぷよぷよテトリスがしたくなるのである。
自分の行動リスト把握する
上記3つの自己分析を踏まえた上で、習慣化したい行動を自分の行動リストにどう入れて行くべきかをロジカルにある程度コントロールできる。
まず上記で述べたように、「自分の限られた余暇の時間」内において、実行されていくタスクは基本的に「欲求値 + プレッシャー値」の高い順となる。「英語学習」というタスクを、この行動リストにランクインさせるための方法は2つ、
- 「英語学習」の欲求値をあげる
- 「英語学習以外のタスク」の欲求値を下げる
である。
欲求値のコントロールとは、「英語学習」そのものの欲求値をあげることだけでなく、「それよりも欲求値が高くなる別のタスクを持たない」というアプローチも大変重要である。英語の学習欲求がいくら高くても、それよりも高い行動欲求が、自分の余暇の時間の全てを使ってしまうようでは、いつまでたっても欲求が実行されないままである。よって、上記2つを並行して行うことが、自分をコントロールして目標を達成するために重要になってくる。
習慣が途切れる時
旅行、深夜の飲み会、イベント
ライフサイクルが平常運転時と異なるイベントが発生する時は、習慣が壊れやすい。突発的なイベント内における、細々とした瞬間的なタスクの優先順位は、毎日惰性で続けている発展途上の英語勉強タスクなどを軽く上回る。
これの対処法は2つ。強力な意思をもってして英語勉強のタスクをイベント発生中でも強行するか、このイベントが発生しうるかもしれないとわかった時点でなるべく早めに諦めて、その分のタスクと気持ちに折り合いをつけることである。
1番やってはいけないことは、イベントが発生した後で、「仕方がない」と思ってタスクを実行しない事である。「仕方がない」は簡単に慢性化する。自分で決めたことを簡単に言い訳する事に慣れると泥沼にはまっていくので、「仕方がない」を使わざるを得ないのであれば、なるべく早い段階で代替策とセットで許容すべきである。
漕ぎ続けてきたペダルを一度止めてからまた加速させるのは、凄く骨が折れる事なのである。
他のことに興味が湧いた時
自分が起こす行動は、「欲求値 + プレッシャー値」が高い順である。であれば、相対的にこの値が高いタスクが発生すると、英語学習に取り組む意思が高くても後回しになってしまう。
そして、興味や欲求は非常に変化しやすく、直前の行動の影響を強く受けることも上で述べた。流しみしていた動画の内容や、他者との雑談などに関連したタスクは、時として急に別の欲求を駆り立てる引き金になり得る事がある。
1番簡単な対処法は、そういった「事故」を防ぐために、ランダム要素の高い外の情報をシャットダウンする事である。インターネットサーフィンは、ランダム性のたかい外的情報のオンパレードなので、興味がどんどん脱線していき、行動優先順位が簡単に上書きされて時間を消費することにつながりやすい。勉強の合間に、「息抜き」や「休憩」、「気分転換」と称して漫画やネットサーフィンをする人がいるが、これらの行動は「英語学習以外のタスクの欲求値を上げる」リスクを多分に含んでいるため、自ら事故にあいにいくようなものなのである。
今まで軽い気持ちで何気なく「息抜き」で上記のような行動をしていたのであれば、それが自分の欲求や興味にどれだけ影響を与え、相対的に「英語学習をする欲求」を薄めるのに貢献していたか見返してみるといいかもしれない(自戒を込めて書いております)。
以前似たような記事を書いていたので貼っておく。
習慣化と意志力の話。英語学習の習慣化を自転車のペダリングに例えてみる
上記の記事は、自分の怠惰を「意志力」のせいしたままでは何も解決しませんよ という偉そうな事を書いてる記事です。
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